更新作品
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迷えるメダカ 第五回 /深水千世
少しはましなパンが焼けてきた頃、珍しく朝食をともにした父親は怪訝そうな顔つきで言った。 「最近、米を炊かない…
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迷えるメダカ 第四回 /深水千世
ネコさんとやりとりを始めて二週間がたとうとしていた日のことだった。 「拓也」 図書館に行こうと玄関で靴を履…
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迷えるメダカ 第三回 /深水千世
翌日、終業式が済むと、入部届を催促する田中先生を避けて校門を飛び出した。図書館の自動ドアを開け、冷房のきいた…
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迷えるメダカ 第二回 /深水千世
翌朝、一人で登校する足が重く、ため息ばかりついていた。勇司は野球部の朝練でとっくに学校に行っている。俺も野球…
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迷えるメダカ 第一回 /深水千世
今日もネコさんは来なかった。 俺の待つネコさんというのはニャアと鳴く猫ではなく根子、、という珍しい苗字…
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仰ぐ / 大友 青
ある夜――。 「月が綺麗ですね」なんて、ふざけたセリフで声をかけてくる男がいるなんて思ってもみなかった。…
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海月 最終回 / 芥田
『早く起きなさい。だから早く寝なさいっていったのに』 怒気の甘い母の声を聞いた気がして、はっと目を開く。どれ…
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海月 第三回 / 芥田
暗くて冷たい海に沈んだ星は、虚無感の涙よりも質量があると見え、浮かび上がることなくゆっくりと沈んでいって、つ…
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海月 第二回 / 芥田
朝、目を覚まして一番に思うことといえば「まだ眠っていたい」だし、夜眠る前に最後に思うことといえば「疲れた」だ…
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海月 第一回 / 芥田
「みなさんは、将来何がしたいですか?」 たしか、春休みが終わりを告げた始業式のホームルームだった。一新し…