ピックアップ作品
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蝉の喝采 第一回 / 深水千世
弓道場は貸し切り状態だった。しんと静まり返ったなか、的を見つめ、ゆっくりと打ち起こす。矢を水平に保つ…
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レンズ越しのなにか
この世界は歪んでいる。 なにが真実で、なにが虚偽なのか。 私には目に入るものすべてが虚偽に思えた。学校も、会…
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『ベトナムで会いたいね』 / 深水千世
彼の名前を久しぶりに見つけたのは、たまりにたまったメールを整理しているときだった。 懐かしさのあまり、…
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迷えるメダカ 第一回 /深水千世
今日もネコさんは来なかった。 俺の待つネコさんというのはニャアと鳴く猫ではなく根子、、という珍しい苗字…
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仰ぐ / 大友 青
ある夜――。 「月が綺麗ですね」なんて、ふざけたセリフで声をかけてくる男がいるなんて思ってもみなかった。…
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海月 第一回 / 芥田
「みなさんは、将来何がしたいですか?」 たしか、春休みが終わりを告げた始業式のホームルームだった。一新し…
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かぐや姫へ、愛を込めて 前編 / 三石メガネ
ダイニングルームは金色の朝日に満ちていた。 美月はセーラー服のリボンを結びながら奥へと向かう。母親…
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パラダイム・ロスト 第一回 / 大友 青
二日目、濃い目に淹れた無味無臭のブラックコーヒーが僕の頭痛を少しだけ緩和した。カフェイン接種は一種のおまじな…
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アルビノ 前編 / 大友 青
こんな馬鹿なことが現実だというのだから、人間というものは信じられない。 少し考えるだけで間違っていることが…
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夏は嫌いだ / 大友 青
夏は嫌いだ。 駐車場に敷かれたコンクリート。しばらく手で触れてい…